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■下沢順一郎
   
    

9月21日に、厚生労働省は、医療機関が表示することができる診療科名を現行の38科から大幅に拡大し、内科、外科などの主な診療科に体の部位や疾患名を組み合わせた腎臓内科、糖尿病・代謝内科などを新たに認める方針を固めたと発表しています。これは患者にとっては診療先がわかりやすくてよいかもしれませんが、医師不足といわれるこの時期に、なぜ厚生労働省はこのようなことをしてさらに不足に拍車をかけようとしているのか不思議でなりません。
 私は、このような国の方向性に疑問を呈するものであります。医師の数が多い都会ではこのようなことが成り立つでしょうが、医師不足が目立つ地方では大変な問題です。これでは、大都市優先の政策、地域格差助長策としか言いようがないと思います。国のこのような方針についてどのようにお考えか。知事の見解をお伺いいたします。

 

◎知事
 (村井仁)

現在の医師不足という、そういう現象がはっきりしましたきっかけは研修制度の変更でございました。しかし、同時に、いろいろな機会にこの医師の不足問題に関連して、私自身、国会議員時代に医療費の増嵩というものに非常な問題意識を持ちまして、いろんな議論の中で、余りお医者様の養成をすることがいいのかどうかというような議論もしたことがありましたけれども、結果的には、実は医療が大変細分化されてきているというのも最先端の部分では一つの紛れもない事実でありまして、それが医師不足という問題をある意味では起こした一つの要因だろうということも感じております。
 そんな感想を申し上げました上で、9月21日に医道審議会の専門部会が厚生労働大臣に意見書を提出した、そのことを踏まえての御質問でございます。
 その内容は、要するに患者や住民自身が自分の症状に合った医療機関を選択できるように、例えば、従来、内科としか表記できなかったものを、医師の診療科の表記というのはかなり抑制的に運用されておりますから、そういう意味では今まで内科としか表記できなかったものを糖尿病内科とかいうような表示ができる、あるいは外科としか表記できなかったものを乳腺外科というような表記を認めようとするのが今度の考え方でございます。
 住民や患者が医療情報を十分に把握し、それを利用できるという方向性というものは昨年の医療法の改正で出てきた一つの流れでございますけれども、診療科名の表記方法の見直しというのもそうした措置の一環だろうと私は理解しております。
 この見直し自身は、医療機関に細分化された診療科の設置ですとか、あるいはそれに見合う医師の配置というものを求めるものではありませんし、もとよりそんなことはできるはずもない。現在いる医師を前提に、その医師が提供する診療内容を従来よりも詳細な診療科名の表記によって患者に伝えられるようにするというだけのものであります。適正な運用によって、患者や住民による医療機関選択の利便性が向上することを期待しているものであることは事実だと思います。
 もとより、しかし、今の本県の置かれた状況から言いまして、特定の診療科は別であるかもしれませんが、一般的にそのような選択ができる環境ではないことも議員御指摘のとおりでありまして、こういう流れが都会だけのものだというのも一つの受けとめ方だろうと思います。
 いずれにしましても、長野県の医療がきちんとしたものになりますようにこれからも努力していくことには変わりはございません。

 

■下沢順一郎

患者に伝えるべき程度のものであって、配置等いろいろな増加を促すものではないというふうなお返事だったわけでございますが、基本的にやはり診療科をふやすということはその分だけ専門の医師が必要であるということには間違いないわけで、もし仮にこれがどんどん進んでいくということになりますと医師偏在の地域格差というものがますます広がりを見せて、自治体病院に至っては将来的に医師不足に拍車がかかってしまう、総合病院から特化した専門病院に転換せざるを得なくなってしまうんじゃないかというふうに私は危惧するものであります。
 また、公立病院改革懇談会で現在検討中のガイドライン策定についても同様で、私は、知事にお願いしたいんですが、ぜひ全国知事会においてしっかり御検討いただいて討議いただければ大変ありがたいなというふうに要望しておきたいと思います。
 そして、このように医療の非常事態というような状況の中での対応策としては、県や大学、医師会がしっかりと連携をとり、定期的に意見交換をし、今後の地域医療について提言をいただいていくようにすべきだと思います。さらに、ここに自治医科大学出身の代表者を入れるともっとよいとつけ加えて要望しておきますが、以上申し上げたことにつきまして衛生部長の見解を求めます。

     

◎衛生部長
 (渡辺庸子)

地域医療のあり方に関します大学や医師会との連携についてお答えします。
 本年4月に信州大学と保健医療に関する連携、協力に関する協定を締結いたしまして、今後、双方が連携、協力を図り、各種事業を推進していくこととしております。そのほか、県や県医師会、信州大学等の代表者で構成いたします長野県地域医療対策協議会におきまして、医師の確保を初め地域医療の充実についての協議、検討を行っております。
 また、自治医科大の関係者とは定期的な意見交換を行っておりまして、医学生を初め研修医、義務年限中の医師や義務年限を既に終了されている医師からさまざまな御意見をお聞きしているところでございます。
 今後も関係機関と連携しながら諸課題に対応していきたいと考えております。

    

■下沢順一郎

医師会、信大、それぞれ連携され、そしてまた自治医科大学の卒業生の方々も連携されているということでございますが、できれば県も含めての4者の懇談会の場を持っていっていただければなというふうに思います。
 また、現在進められています第5次長野県保健医療計画策定に当たりまして、これまでの第4次長野県保健医療計画の成果を検証し、長野県中期総合計画にも反映させることが重要と考えるものであります。
 そこで、まず第4次長野県保健医療計画の成果について衛生部長に見解を伺います。

    

◎衛生部長
 (渡辺庸子)

第4次保健医療計画の成果についてお答えします。
 第4次保健医療計画は、平成15年度から19年度までの計画期間といたしまして、救急・災害医療、精神医療、県立病院の特色化、保健医療従事者の養成・確保、がん総合対策の5分野を重点に取り組んでまいりました。
 その成果につきましては、まず須坂病院の結核病棟の設置、木曽病院、こども病院、須坂病院における医療機能評価機構の病院機能評価の取得、精神疾患の長期入院者の退院支援のための体制づくり、中信地域への救命救急センターの設置、がん診療連携拠点病院の指定など、医療提供体制等の充実が図られたと考えております。
 一方、保健医療従事者の養成、確保につきましては、第4次保健医療計画策定時には想定し得なかったほど急激かつ深刻な医師不足が発生しておりまして、現在、ありとあらゆる手段で医師の確保に努めているところでございます。
 いずれにいたしましても、第5次保健医療計画の策定に当たりましては、現在、五つのワーキンググループを設けて協議をしておりまして、その第1回目の会合におきましては第4次長野県保健医療計画の検証を含めた現状と課題から議論を始めております。

    

■下沢順一郎

現状と課題からというようなお言葉でございましたけれども、私も、その点に関しまして、第5次の計画で2点お聞きしたいと思っております。
 まず一つ、先日も出ましたけれども、県民医療室整備プロジェクトの件でございます。
 このプロジェクトの基本となる部分はそのまま実行されていくことが必要であると思われますが、新しい視点での県民医療室の活用もまた求められていると思われます。それは、20カ所以上ある中核病院と診療所との関係であります。医療環境も含め、状況はこの5年の間に激変いたしました。そこで、まず中核病院を充実させ、そこを中心として各診療所を衛星型の位置づけをし、中核病院が責任を持って診療所をケアしていくというものであります。病院版のクラスターともいうべきものであります。このような体制づくりについてぜひ御検討いただきたいと思います。
 また、県民医療室がこれを積極的に展開できるようにスタッフをそろえるか、須坂病院内ではなく衛生部直轄として位置づけていくか、権限を与えていく必要があると思います。これも提案させていただきます。この件について、衛生部長、御見解をお願いできたらというふうに思います。
 続きまして、血液供給確保についてお尋ねいたします。
 人道、博愛の精神を基底としている日本赤十字社が、医師不足、赤字だからという理由で地域の病院を、例えば上山田病院のようなところでございますが、これはさらに1年延びるということでございますけれども、閉院していくという方針であることについてどう思われるか。これは知事に見解をいただきたいと思います。
 次に、安全な血液製剤の安定供給の確保等に関する法律、血液新法の方針によりますと国産の血液を使用するとの基本的な方向性があるわけですが、県立病院の血漿分画製剤の使用実態はどうか。お聞きいたします。
 3番目、平成18年度の献血受け付け者数9万3,431名のうち女性が3万5,944名ですが、そのうち献血できなかった女性は8,898名で24.8%に当たりました。私の知っている医師が上高地の献血へ同行いたしまして、そのときに上高地で受けた献血希望者のおよそ半分が比重が足りなくて献血ができなかったと言っておりました。日ごろのストレスだとか疲労だとか、あるいは朝食を抜いてしまうせいだとか言われておりますが、原因は定かではございません。ただ、こういった健康問題について県民の相談をその時点で受けられるような対策として保健師を同行させてはどうかと思いますが、いかがでしょうか。
 4点目、けさの新聞にも出ておりましたけれども、献血者の減少が近年顕著であります。その中でもとりわけ20代の減少が目立つわけでございますが、県内では10代、20代が27%ということで全国平均を下回っているそうでございます。新法上の県の献血の推進を図る責務として、どのような対処を考えますか。衛生部長にお伺いをしたいと思います。

     

◎衛生部長
 (渡辺庸子)

医療提供体制についてお答えいたします。
 地域における医療提供体制を確保するためには、診療所と中核病院の連携が重要でございます。しかし、現状におきましては中核病院においても医師が不足している状況のもとにおきましては、診療所を全面的に支援していくことは容易ではないと考えております。限られた医師数の中で地域の医療提供体制を確保するよう、現在策定中の第5次保健医療計画におきましては、主要4疾病、これはがんだとか脳卒中だとか心臓病です、それと5事業、これは救急医療だとか災害医療だとか等ですけれども、これを中心に病院と診療所の連携が図られますよう検討してまいりたいと考えております。
 次に、県民医療室の件でございますけれども、第4次保健医療計画におきます県民医療室の構想及び現状は昨日村石議員の御質問に答弁したとおりでございまして、当時の構想をそのまま実現していくことは困難と考えております。今後、そのあり方につきましては再検討してまいります。
 次に、県立病院の血漿分画製剤の使用実態についてお答えいたします。
 議員御指摘のとおり、いわゆる血液新法が平成15年7月30日から施行されまして、血液製剤の安全性の向上、安定供給の確保、適正な使用の推進の3点につきまして必要な措置が講じられてきております。県立病院は適正な使用に努める責務を負っておりまして、厚生労働省が定めました血液製剤の使用指針に基づき、病院ごとに使用目的、投与量、適切な使用法、注意点等についてガイドラインを定めるとともに、保管管理についてもマニュアルを作成し、適正な使用に努めてきております。
 血液製剤は多くの皆様からの献血により製造されていることから、引き続き適正な使用と血液の管理に努めてまいりたいと思っております。
 次に、献血のできなかった方に対する保健師の保健指導についてお答えします。
 献血の基準は安全を確保するために設けられておりまして、問診や血圧、体重など幾つかの項目があります。このうち献血のできなかった主な理由は血液の比重不足でございまして、女性では基準を満たさなかった者の64.6%を占め、主に貧血を反映しているとされております。低比重によりまして献血できなかった方に対しましては貧血についてのパンフレットが配布されております。
 保健師による健康指導をあわせて行うべきとの御提案でございますけれども、採血当日の血液の比重だけでは貧血の種類も判別できません。適切な保健指導を行うことは困難と考えております。
 次に、献血者の減少、特に20歳代の減少についての県の対応策についての御質問でございますが、近年は、少子・高齢化の進展に伴いまして血液製剤を必要とする世代の増加に加えて、献血可能層の減少によりまして献血者の確保が重要な課題となっております。県内においても若年層の献血者の減少が続いておりまして、平成18年度の状況を見ますと20歳代では前年比16.7%の減少となっております。
 このような状況の中、県では、啓発事業といたしまして、若年者が多く聞く機会の多いラジオ番組での呼びかけや献血ルーム体験運動を行い、また学生ボランティアによるキャンペーンを通じて献血への協力をお願いいたしております。
 県といたしましては、第5次長野県保健医療計画の中に血液供給の確保対策を盛り込みまして、将来にわたり安全で安心な血液製剤の安定供給の充実を図ってまいりたいと考えております。

 

◎知事
 (村井仁) 

人道、博愛の精神を基底とする日本赤十字社が経営する病院、これが閉院するということを踏まえまして御質問がございました。
 御指摘のように、日本赤十字、人道、博愛の精神に基づく医療提供ということをやっているわけでございますが、それもやはり財政基盤の確立があってのことでありまして、徒手空拳ではどうしようもない。医は仁術に違いないが、算術を完全に外してしまっては動きがとれないと、まあこういうことでしょうか。
 日赤長野県支部は県内で7病院を独立採算制で運営しておりますけれども、残念ながらすべて赤字ということでございまして、事態は大変深刻だということを認めざるを得ないと思っております。

 

■下沢順一郎

県民医療室の件でございますけれども、県民医療室自体の機能が発揮できていないという旨の発言だと思いますが、毎年2名の自治医大の卒業生を長野県は育てているわけです。大体6,000万から7,000万かかっているんでしょうけれども、その人たちを活用していくというのは非常にいいことではないかと思いますし、非常に熱意に燃えた、そして正義感に燃えた方々ですので、僻地にも行って一生懸命そこを助けようという精神にあふれた方々が多いと聞いておりますし、御意見を伺ってもそうでありました。ぜひそういったことも踏まえてお願いしたいと思いますし、また、その人たちの9年間の後の受け皿つくりについても、どうもやってこなかったのではないかなというふうに思わざるを得ません。
 そして、せっかくの代診制度にも事例が今までありませんでした。現在、20数名の方が登録されているようですが、ボランティアの養成もなかったというようなことでございまして、今後の医療室につきましては再度やはり見直すことが必要であろうかと思います。
 そして、さらに、現在、信州大学が行ってるような医学生のためのセミナーというもの、これは夏に1週間ほどやっているわけですが、そういうのこそ医療室が主体となって行うべきではないかというふうに考えるものであります。
 知事の方で医師不足の方では十分対処してまいりたいということでございますので、これには必ず自治医科大生、卒業生の協力が必要であります。第5次の計画にもしっかり記載をして進めていっていただきたいものだというふうに思います。
 続いて、血液供給の確保ですが、日本赤十字社の経営状態によりましてこのような事態を招くということはとても残念なことだと思います。ただし、知事言われましたとおり、お金がなければ何もできないということでございます。日赤のこれからのことを考えると、現在のスリム化もやむを得ないことがありますでしょう。しかし、やはり基本的なものは人道、博愛というその基底の精神でございます。ぜひその精神の範囲内で国民の健康が守られるよう努力いただきたいと考えるものであります。
 県立病院では、グロブリンやアルブミンなどの血漿分画製剤も国内産のものを使用しているということでございます。アメリカ産のものが出回っているというようにお聞きしております。引き続きぜひ国内産のものを使っていただきたいと思います。
 また、県民の健康を指導する上で保健師が、私は献血直後というのは非常にいいタイミングではないかなというふうに思うものでございます。ぜひ御検討いただければなというふうに思う次第でございます。
 そして、血液の新法上の県の責務についてでございますけれども、特に若年者への呼びかけをしていらっしゃるというようなことでございますが、高校生献血というのが最近よく言われておりますけれども、私は、もし学生にそういった献血を勧めるということであるんであれば、やはり教師が先であろうというふうに考えるものであります。そして、小中高の教師が率先して献血に貢献することが生徒、学生に範を示すことでありまして、みずからの健康管理の大切さを示すものであるというふうに考えるものであります。ぜひ教育委員会でも積極的に御協力いただきたいと思います。
 以上です。ありがとうございました。

 

 

 

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